ISM非製造業景況指数とは?
ISM非製造業景況指数とは、アメリカの景気転換の指標の1つです。ドル円やユーロドルで取引を行う場合に重要度が高くなります。
まずISMとは、米供給管理協会(Institute for Supply Management)のことです。このISMによるサービス業など製造以外の「非製造業」の景況指数を算出したものが「ISM非製造業景況指数」になります。
50%が景気判断の分岐点となり、製造業の動向を示す指標の中では、市場が最も注目する指標です。
この指標の算出は、ISMが全米約370社の購買担当役員にアンケート調査を実施し、その結果を基にします。
1か月前と比較し、「良くなっている・同じ・悪くなっている」の三者択一で回答され、それを基に景気の動向指数として割合をパーセンテージで表します。
アンケート項目は、新規受注、事業活動、雇用、在庫、入荷遅延、在庫景況感、支払価格、受注残、新規輸出受注、輸入の10項目です。その内の、事業活動、新規受注、雇用、入荷遅延の4項目を平均して総合指数を算出します。
これらのアンケート項目は詳細も公表されており、その詳細の確認によって経済の実態をより正確に把握することも可能になるといえます。算出された指数はアメリカの景気転換や景気状態を知るための指標となります。
アメリカが景気拡大傾向にある場合は、ISM非製造業景況指数が50%を超える状態で、逆に景気後退傾向にある場合は50%を下回ります。
アメリカ経済の構造上、サービス業界は比重が増しているため、重要性の高い指標として注目されています。
FXにおけるISM非製造業景況指数の影響度・チャートの値動き
ISM非製造業景況指数の発表のタイミングは、毎月第3営業日です。夏時間では日本時間午後11時、冬時間では日本時間午前0時に発表されます。サービス業以外が対象であるISM製造業景気指数の、2営業日後にあたります。
アメリカの労働省による米国雇用統計は第1金曜日に発表されるため、これよりも早くにISM非製造業景況指数が発表される場合もあります。
アメリカの雇用における非製造業は割合が大きいので重視される指標となり、また、その月によってはより早く発表がされることもあるため、先行指標として注目されてまいます。
そしてこれはアメリカが発表する経済指数のため、米ドルの変動に影響を与えます。そのため、ドル円や、ユーロドルで取引を行う場合に重要度が高くなります。
例えば、ISM非製造業景況指数が50%を超えている、もしくは指標予想が前月より高いと、景気拡大や景気回復の状態にあると判断されます。そのため、期待感からドル高(ドル買い)に繋がりやすいと言われます。
つまり、ISM非製造業景況指数が50%以上の場合は米ドルが買われやすく、50%未満の場合は米ドルが売られやすい状況であるということになります。
また、数値が高いほど、景気の拡大のペースが速くなっている「景気拡大」と示され、反対に数値が低いほど景気の減速のペースが速い「景気後退」ということが示されます。
それにより、FRB(米連邦準備理事会)の利上げスタンスを見極める意味でも注目するべき指標だといえます。
まとめ
経済の指標として、米ドルのFX取引の影響として注目すべき指数の一つが、ISM非製造業景況指数です。
1998年から公表が開始されたため、まだ歴史としては浅いですが、2019年時点で米国の名目GDPの9割を非製造業が占めることから注目度の高い指標だといえます。
また、非製造業は労働者の占める割合も高く、毎月第1金曜日に発表される雇用統計よりも先に発表されることも多いので、先行指標としても注目されるのが、このISM非製造業景況指数です。