製造業新規受注とは?
製造業新規受注とは、アメリカ国内における製造業の受注額を調査し、算出した経済指標です。この数値の調査対象は、年間の出荷が5億ドル以上の製造業者からで、それぞれの報告に基づいて作成されます。
また、新規受注の数だけでなく、受注残高・出荷・在庫などの項目も同時に発表がされます。この内の「受注残高」とは、注文を受けた商品の内から、未納品分の金額や数量を指します。つまり、受注額から納品した分の売上額を引いた金額が「受注残高」となります。
この数値の算出には、大型案件なども含まれることによりブレが大きいことがあるため、この指標の項目のなかでも航空機を除いた非国防資本財が注目される傾向が強いです。
また、この製造業新規受注の数字は、GDPの重要な構成要素である「設備投資」としての先行指標としても認識がされています。数値の発表は、日本時間で夏時間は午後11時、冬時間で午前0時に発表がされます。
これは調査対象月の翌々月の上旬に発表がされます。この製造業新規受注の指標により、製造業の生産活動が拡大・縮小の傾向にあるか捉えられることができます。
なお、米国商務省の経済分析局(BEA)のGDP概算の資料としてもこの指標の数値が使われ、それだけでなく、FRBの経済動向予測など、幅広い活用がされています。
製造業新規受注のFXにおける影響度・チャートの値動き
製造業の新規受注は、時間の経過と共に企業の生産や出荷に結びつくことからも、景気の先行指標として見られます。
また、景気が好調なときは生産活動の活発化により新規受注が増え、反対に景気が悪い時は生産活動が著しくなり、新規受注も減ります。このように、景気と生産活動に関係しているため、製造行の景況感を示す指標としても活用されます。
この製造業新規受注のが予想より高い数値が発表された場合、米ドルが買い材料となりますが、予想よりも低い数値が発表された場合は米ドルは売り素材として解釈がされ、取引されます。
この数値は同じ経済指標である「耐久財受注」の速報値が発表された後に公表されます。この製造業新規受注の発表がされたあとに「耐久財受注」の改正値が発表されるため、これらと一連付けて注目するといいといわれます。
先行指標としても中止されるこの製造業新規受注の数値は、天候状況や祝祭日などの月ごとの特殊な要因によっても振り幅が大きく変わるため、発表のタイミングでは毎回注意する必要があるといえるでしょう。
また、非国防資本財が一番の注目素材とはいえ、国際情勢によって左右されることもあるため、多方面で注目しなければなりません。
そのため、製造業新規受注の内容を反映する取引の際には、その他の経済指標とも照らし合わせて取引することを薦められています。
様々な参考として使われる分、このように、数値の増加が特殊要因によるものなのか、製造業の景況感によるものなのかの見極めも必要になる、読み解きの難しい指標とも言われています。
まとめ
このように、製造業新規受注の数値は経済指標・先行指標として注目のデータですが、数字だけの着目ではなく他の面との照らし合わせが重要といえます。
また、受注量・単価などにより統計のブレが大きいとされる航空機を除く、「非国防資本財」の項目に特に注目するのが良いなど、見方にも注意が必要になります。
一部の内容が別の経済指標の速報値と重複するなど、速報性には欠けます。しかし、アメリカの経済状況と景気の動向予測には欠かせない指標の一つとされているので、官民ともに注目がされています。
この数値は、例えば2019年11月に米中貿易摩擦の緊張もさることながら大きく下落し、しかし12月にはその反動で大きく上昇しました。そして2020年には新型コロナウイルス感染の拡大により、横ばいの状況が続いています。
このように、貿易などを含む世界情勢にも目を向けて見ていく必要といえるでしょう。