耐久財受注とは?
耐久財受注とは、アメリカ国内における耐久財の受注残高・新規受注・在庫・出荷を集計して算出した、経済指標の1つです。
米商務省経済分析局によって、アメリカ国内の製造業約4,000社を対象にして集計をします。これの対象である耐久財とは、自動車、家具、家電、パソコンなどの耐久年数が3年以上の消費財のことです。
また、この対象の耐久財のうち受注の一つあたりの金額が大きく、月ごとの変動が大きくなる非国防資本財受注とされる国防総省による受注製品と航空機などの輸送機を除いた数値が、民間設備投資の先行指標として注目を集めています。
これは、企業の景気動向をみるための経済指標に、国という大きな関わりが持たれると数字の幅が大きくなり、正確な分析ができなくなるためです。一般的には耐久財の受注は生産段階に入る前に行われるため、生産や設備投資に対しての先行性があります。
関連した経済指標の「製造業新規受注」が翌々月の月初めに公表されることもあり、耐久財受注の翌月下旬発表という速報性の高さからも先行指標としての役割が大きいです。
また、この耐久財受注は先行・重要指標の一つとしても、為替相場への影響を与えることとして注目がされます。
耐久財の指標は日本でも設けられていますが、こちらはこのアメリカの耐久財受注の指標とは異なる意味合いを持ち、消費者側の家計などの需要に関係があるため注意が必要です。日本において、この耐久財受注に似たような指標は「機械受注額」がそれに当たります。
FXにおける耐久財受注との関係性
この耐久財受注の数値の上昇することによって、設備投資などの経済の動きが活発になっているという見方ができるため、アメリカ国内の景気の向上と判断がされ、ドルが買われやすくなる動きが見られるようになります。
しかし、これは市場に与える影響としては限定的になり、相場のトレンドを変えるほどの影響力は無いと言われています。
この耐久財受注は、新規事業の発表や在庫を見て将来の景気動向を予測することができますが、その予想値は市場結果とズレが生じることがよく起こります。
そのため、同時発表される耐久財受注のなかでも航空機や自動車を除く「徐輸送用機器」という項目の方がマーケットからは注目がされます。これは「徐輸送機器」の方が変動要因が少ないためです。しかし注目がされているので、価格変動は大きくなる傾向になります。
このことから、まず「徐輸送機器」の項目を見てから、除いたものも含めた耐久財受注の数値を見ることが推奨されます。
なお、耐久財受注は、速報値と確報値では発表時間が異なります。
速報値は調査月の翌月下旬に米商務省から前月分の発表がされ、産業別・季節調整前と後に発表されます。また、速報値が発表されたのち、製造業新規受注の全統計の発表時に改訂がされます。
確報値は調査月の翌々月上旬に発表されます。この速報値と確報値の間の改訂は、かなりの頻度で行われるため注意が必要です。この改定の多さが株価への限定的な影響に関わっています。
ですが、限定的とはいえ、為替に対するかなりの影響を持っていると判断がされているので、相場の変化への影響も引き起こされます。そのため、限定的とはいっても注視する必要があると言えるでしょう。
まとめ
このように耐久財受注は、3年以上の耐久年数を持つ消費財の受注残高・新規受注・在庫・出荷の集計をした経済指標を指します。
関連の経済指標である「製造業新規受注」よりも先に発表されるため、先行指標としても注目がされます。
また、改訂がされることもありますが、この数値は景気の動向を予測する経済指標としても使われるでしょう。
そのため、高い数字が発表されると株価とドルが上昇し、逆に低い数字が発表されるとそれらが低下します。改訂が多いために重要度が高いとはいえませんが、FXに関する影響力は大きいため、注視はする必要があるといえます。