小売売上高とは?
小売売上高とは、小売業・サービス業の売上高を集計したものです。これは百貨店や総合スーパー、コンビニ等の売り上げのサンプル調査を基にして、毎月第2週に前月分が発表されます。
国内の個人消費の動向を表すものなので、たとえばアメリカの場合は個人消費がGDPの約7割を占めることもあって他の先進国よりも高い傾向になります。
ちなみに、個人消費の動向は景気全体にも影響を大きく与える為、注目度の高い指標としてこの小売売上高は見られています。
なお、売上高としての割合が最も多いものとして「自動車及び同部品」という部門があります。
これは販売店のなかでも、セールなどの景気と直接の関係がない要因による月ごとのブレが大きとされ、この自動車に関連する項目を除いたコア部分の注目度が高いという特徴があります。
小売売上高の数値は季節調整がされての発表になり、この数値は、当該月末から約2週間という速さで発表されることからも非常にタイムリーな指標と言われています。さらに、修正も約2か月後に行われるため、比較的タイムリーに現状を把握できる指標だといえるでしょう。
重視するにはうってつけの指標ではありますが、デメリットもあります。そのひとつに、修正が大きい場合があること、サンプルの数が少ないことが挙げられます。また、月ごとの変動が激しいため、トレンドを見極めるのが難しいと言われています。
また、これは小売業の売上高の数値なので、サービス業は除外されているという点にも気をつけましょう。
このアメリカの小売売上高は、米国夏時間で日本時間午後9時半、冬時間で午後10時半に発表されます。
FXにおける小売売上高の影響度・チャートの値動き
小売売上高は個人消費のトレンドの把握だけでなく、景気の良し悪しの判断材料にもなります。それにより、ドルの売買にもつながる資料になるため注目される経済指標です。
この小売売上高の数値は、実際の数値も重要ですがなにより予測値が重要になります。予測よりも実際の数値が上回ったか、それとも下回ったかによって相場の動きが変わってきます。
例えば、小売売上高が予測値を上回った場合は景気が回復傾向にあると推察されドル買いに、反対に小売売上高が予測値よりも下回った場合は景気が停滞傾向になっていると判断されドルが売られる状況になります。
また、年末のクリスマス商戦では特に1年の結果を確認する判断材料として注目されるため、そのクリスマス商戦の結果が反映される1月の発表は特に注目が集まります。
現状として、近年では日本の小売は外資系オンラインショップによって経営が困難になっています。スマートフォンの普及によって大衆のネット小売店の利用が増え、日本の小売に影響を与えているのです。
貧富の差の拡大により、消費活動の二分が見られるため、単一の指標では測りきれなくなっているのも現状の問題として取り上げられています。しかし、この指標の伸びは日本円にプラスの影響を与えるため、注視すべき指標ではあります。
まとめ
このように、小売売上高はその国の個人消費の動向を知るうえで重要になる指標です。個人消費はアメリカがGDPの約70%を占めることから、アメリカの小売売上高を注視するのが良いでしょう。
この小売売上高の算出は、百貨店やスーパーマーケットやコンビニをはじめとした小売業者の売上額をまとめて出される数字になり、振れ幅が大きいため指標を見るときは注意しましょう。
また、アメリカの小売売上高の結果は、GDP概算の資料になったり、米労働省統計局による生産者物価指数データなど、官民問わず広く利用されています。
個人消費の動向を知れるだけでなく、結果によってドルの売買にも大きく影響し、GDPにも影響してくることから注視すべき指標であると言えるでしょう。